Research

軟骨再生について,次のようなテーマを軸に研究を行ってます.

 再生医療の目的は単に治療するだけでなく患者さんの生活の質(QOL)を再生することが重要であり,軟骨再生には優れた力学機能の早期獲得が求められます.
 軟骨再生について,工学的視点より再生プロセスを最適化し生体外における組織再生促進を目標とした軟骨再生メカニズム解明や培養環境設計などの新規組織再生技術に関する研究を行っています.

 

力学刺激下遺伝子発現イメージングによる最適刺激の探索

Keywords:再生軟骨,遺伝子発現ライブイメージング,力学刺激フィードバックシステム,細胞外基質産生,

軟骨再生医療において,圧縮やせん断などの力学刺激を負荷することで軟骨基質の産生が増加することが報告されています.しかし,培養に伴い組織状態は変化するため,最適な刺激を設定することは困難です.本研究では,培養過程における遺伝子発現をライブイメージングし,力学場情報を重ねることで最適刺激を探索可能なシステムの開発を行っています.培養における組織や細胞の状態を反映した力学刺激を負荷することで,効率的かつ効果的な培養方法の確立を目指しています.


図1 遺伝子発現情報を反映した力学刺激負荷システム
        

再生軟骨の摩擦界面における分子機能を評価可能な光学システムの開発

Keywords:再生軟骨,潤滑機能,タンパク質発現,表面プラズモン共鳴

関節軟骨は優れた潤滑特性を有しており,軟骨表層分子が関与していることが明らかとなっていますが,潤滑機能に及ぼす影響は未だ完全には解明されていません.本研究では,表面プラズモン共鳴に着目し,軟骨摩擦面における特定の分子機能(吸着や分子間相互作用)を評価可能な顕微鏡を開発しています.また,遺伝子改変技術により特定の分子が軟骨潤滑特性に及ぼす影響を評価しています.


図1 組織接触面を評価可能なプラズモン顕微鏡

軟骨内細胞のCa2+イメージングによる刺激伝播の解析

Keywords:関節軟骨,軟骨細胞,Ca2+シグナリング,メカノバイオロジー,有限要素解析

過度な力学刺激は軟骨組織内の細胞代謝活性を変化させ,変形性膝関節症(OA)を発症させる要因となります.しかし,複雑なコラーゲン構造を有する軟骨組織内を力学刺激どのように伝わり,細胞が応答しているのかは明らかになっていません.本研究では細胞内Ca2+動態観察と粘・異方性超弾性モデルによる有限要素解析を通して力学刺激に対する軟骨細胞応答の解明を目指しており,新規薬剤や治療法の開発に繋がることを期待しています.


図1 圧縮時軟骨内Ca2+イメージングと力学場情報

 

 

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