Research

Electro Spinningを応用したスキャホールド開発について,次のようなテーマを軸に研究を行ってます.

 組織工学において,細胞を生体と同様に3次元配置するためにスキャホールド(足場)と呼ばれる再生組織の骨格が重要です.細胞外基質の主成分であるコラーゲン線維の直径は50-500 nmであり,ナノファイバーを用いたスキャホールドは細胞との親和性に優れていることが知られています.ナノ/マイクロファイバーを作製する技術としてエレクトロスピニング法を応用することで,骨・軟骨再生や神経再生に役立つ新規機能性ナノ/マイクロファイバースキャホールドの開発に関する研究を行っています.

 

ゼラチンナノファイバースキャホールドの開発

Keywords:創傷被覆,ゼラチン,ナノファイバー,エレクトロスピニング法

ゼラチンは生体適合性に優れており,また高い細胞接着性を有しています.ゼラチンをナノファイバーとすることで組織再生に優れたスキャホールドとなることが期待されます.しかし,ゼラチンは水溶性であり,生体内に移植した際の形態維持が困難です.そのためエレクトロスピニングの紡糸条件や作製したナノファイバーの架橋条件を探索し,高い細胞活性と耐水性を有したナノファイバースキャホールドを開発しています.

   図1 エレクトロスピニングによる紡糸   図2 ゼラチンナノファイバー     

 

アパタイト誘導多孔質PLLA/DCPAマイクロファイバースキャホールド

Keywords:骨再生,骨分化,ポリ乳酸,エレクトロスピニング法,アパタイト

骨欠損において自家骨再生を促す生体吸収性ポリ乳酸(PLLA)マイクロファイバーの開発を行っています.PLLAは細胞接着性に劣るため,生体内移植によりPLLAファイバー表面がアパタイトで覆われることで早期の細胞遊走と骨分化を期待します.本テーマでは,アパタイト析出の核となるようにアパタイト前駆体であるリン酸水素カルシウム(DCPA)を添加するとともに,迅速かつ均一なアパタイト析出を促すようにPLLAファイバーの多孔質化を試みています.

多孔質PLLA/DCPAマイクロファイバースキャホールドアパタイトが析出した多孔質PLLA/DCPAファイバー図1 多孔質PLLA/DCPAファイバー    図2 アパタイトが析出した様子   

軟骨再生用多孔質中空マイクロファイバースキャホールド

Keywords:軟骨再生,ポリ乳酸,エレクトロスピニング法,多孔質中空構造,栄養供給,細胞活性維持

培養軟骨では産生された細胞外基質により栄養供給が阻害され,培養軟骨内の軟骨細胞活性の低下や壊死が生じる.そこで,培養軟骨内の軟骨細胞の活性を維持するため,エレクトロスピニング法により栄養供給を促すよう多孔質中空構造を有するPLLA繊維足場を作製を試みています.スキャホールドの多孔質中空構造を透過して溶液が培養軟骨全体に浸透および拡散することが確認され,作製したスキャホールドを用いることで培養軟骨全体に栄養供給が可能であることが示されました.


図1 開発した多孔質中空マイクロファイバースキャホールド

神経再生用ナノファイバースキャホールドの開発

Keywords:ナノファイバースキャホールド,エレクトロスピニング法,生体吸収性高分子,神経再生

新規神経再生用ガイドチューブとして,内層を軸方向へ配向させたナノファイバー,外層をランダム配向させたマイクロファイバーで構成した神経再生用2層ガイドチューブの開発を行った.内層を構成するナノファイバー上でPC12細胞の軸索伸長がファイバーに沿って促進されることが確認されました.

神経細胞ナノファイバー神経細胞蛍光
図1 ナノファイバー上に接着した神経細胞 図2 ナノファイバーに沿った神経細胞

【研究テーマ】
1. Development of biodegradable nanofiber guide tube for nerve regeneration書類

 

ハイブリッド皮膚モデルの開発

スキンケア製品のUV防御ト性能の評価は,ヒトの肌に紫外線を照射することにより行われており,被験者への負担やスクリーニングにおける個体差の観点から,紫外線の防御評価可能なモデルが求められています.そこで,皮膚の紫外線吸収特性を再現するメラニン/ヘモグロビン含有PDMS層と,皮膚ダメージを再現するコラーゲンナノファイバー/線維芽細胞層の2層から構成されたハイブリッド皮膚モデルを開発しています.

図1 開発したハイブリッド皮膚モデル

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